Sunday 16 December 2012

読売書評#25

赤松美和子『台湾文学と文学キャンプ』(東方書店)。12月16日掲載。

台湾文学を支える毎夏の各地の文学キャンプ、文学営。その起源は国民党の下部組織・救国団の反共教育で、それが熱心な編集者たちによって作り換えられていったのだそうです。ぼくらが一緒に映像制作のワークショップを開催している政治大学も、もとはといえば国民党の幹部養成学校でした。

また、有名なアイオワ大学のライティング・プログラムを夫のポール・エングルとともに作ったジョウ(耳を三つ組み合わせた字)華苓も、救国団の文学キャンプの講師だったという意外な事実。つまり、アメリカの大学における「創作科」は、この台湾の文学営の直接の影響下にはじまったというわけです。これは、賭けてもいいけれど、世界文化史において、アメリカの大学業界の側からはまったく見えていない事実でしょう。

日本でも文学キャンプをやってみるとおもしろそう。どこか、興味のある出版社の方、ぜひ連絡してください。われわれ、新領域創造専攻との共催で、やってみませんか?