Friday 30 September 2011

足立旬子さん、ありがとう

「毎日新聞」記者、足立旬子さんによるこの記事、必読です。教えてくださったくぼたのぞみさんに感謝。

http://www.mainichi.jp/select/opinion/eye/news/20110930ddm004070002000c.html

一部引用します。あまりにまっとうな意見。なんの責任感もない電力会社経営陣、利権だけで動く政治家たち。かれらには自分たちが地球史のどの段階で何をしているのか、しばし考えてほしいものです。

東京電力福島第1原発事故を機に「脱原発」の世論が広がっている。19日、東京都内の集会には6万人(主催者発表)が集まった。しかし、野田佳彦首相が国連総会で表明したのは、原発の安全性を高め原発輸出を継続する考えだ。原発事故の原因究明も安全性確保も道半ばなのに、事故の当事国である日本の首相が真っ先に国際社会に訴えることがこれかとあきれる。欧州では事故をきっかけに、エネルギー政策の根本的な見直しが進む。日本こそ率先して、エネルギー政策の転換に踏み出すべきだ。」

Thursday 29 September 2011

デリダと脱構築、そして

新宿の朝日カルチャーセンターには学生のころ(1980年ごろ)西江雅之先生の講座のために通っていました。宇波彰先生のフランス思想関係の講座にも多くを教えていただきました。

30年ぶりに、昨晩、行ってみました。西山雄二さんと鵜飼哲さんによる「デリダと脱構築」のため。ふたりのデリダ研究者のお話をたっぷり楽しめましたが、ことにおもしろかったのが、3月11日以後の状況を視野に入れた、「来るべき民主主義」をめぐる終盤の議論。

無責任の体系を生んだ1945年以前の日本における主権のあり方、現在の原発をめぐる国民投票の可能性と危険性、1973、4年頃からのフランスの原子力政策を規定してきたデカルト主義・ドゴール主義・ジャコバン主義の三位一体に現われる「主権の狂気」。鵜飼さんのつねに明晰でたんたんと語られる言葉の説得力に、改めて感銘を受けました。

そして西山さんがaccountability (説明可能性)とresponsibility(応答可能性)のちがいを説明しながら批判する、電力会社の態度。これにも大きく頷くとともに、「民主主義」を肯定することに自分の哲学を賭けていたデリダに対して西山さんが見せる信頼に深い感動を覚えました。

その西山さんは、もともと鵜飼さんのゼミ生。「脱構築は教えることができるのか」という問いに対する最高の回答が、西山さんの存在だといえるのかもしれません!

ひごろ、思想系の人たちとのつきあいがまったくなくなっているため、おふたりのお話に強い刺激を受け、また新たにやる気が出てきました。鵜飼さん、西山さん、ありがとうございました! ぼくも来年はデリダを読みます。

花丼、花サラダ、花スープ、すべての花料理

食べ物関係の話題はふだん書かないのですが、こんどばかりは驚きを伝えさせてください。11月、明川哲也さんとふたりの朗読ライヴを名古屋で開催します。その打ち合わせのために明川さんが誘ってくれたのが、つつじヶ丘駅から徒歩3分のビストロ「くしのはな」。

とんでもない店でした! フレンチのオードブル盛り合わせからはじまるのですが、まずこれが絶品。そして、350円。思わず、ぽかん。1800円といわれてもそうだろうなと思うような内容です。

それからも、すべての料理が旨く、安く、工夫がある。手作りのベーコン、680円。花のスープ、680円。牛ほほ肉のワイン煮込み、1200円(これはお客さんたちの「頼むからもっと値段を上げてくれ」という声によりやむなく値上げしたとのこと)。花のサラダ(絶品!)980円。

傑作なのは、うさぎの唐揚げ、880円。フランス産のうさぎを1羽3000円で仕入れ、1羽から3人前をとる。それをこの値段で! その結果、シェフは昨日は一日、高速道路での草むしりのバイトをしてきたとのこと。そこまでして…。感動と笑いが同時にやってきます。

そして締めは、明川哲也さんが考案し名作『大幸運食堂』の中の短編ひとつをささげている「花丼」。それを現実化し出してくれるのですが、うなります。それで650円。

いま行かないと、いつ「半年先まで予約でいっぱいです」といった事態になっても不思議ではありません。ふらりと京王線に乗って、ぜひ訪ねていってください。きっと、その甲斐があります。やる気のある料理人が(どんな分野の人もそうですが)どれほど人を元気づけてくれるか、実感できると思います。




10月15日はリブロ池袋本店!

10月15日(土)、『ろうそくの炎がささやく言葉』刊行記念イベントの一環として、リブロ池袋本店で朗読会を開催していただきます。

http://www.libro.jp/news/archive/002084.php

出演は柴田元幸! 野崎歓! そしてぼく。思えばこの3人という顔合わせは、あらゆる場で初めてかもしれません。ひとりあたりの持ち時間がたっぷりあるので、何を読むかの選択にも工夫の余地あり。これまでの朗読会にいらした方も、ぜひもういちど、お出かけください!

Monday 26 September 2011

10月8日は放送大学で

10月8日(土)には放送大学世田谷学習センターで、工藤庸子さん、旦敬介くんとぼくが、文学と旅の関係のすべてを語ります。そして『ろうそくの炎がささやく言葉』からの朗読を。

http://www.keisoshobo.co.jp/news/n2745.html

ぜひいらしてください!

公開の朗読会以外に、大学の授業への訪問朗読を今後いくつか予定しています。都合がつくかぎり行きますので、気軽に声をかけてください。ぼくひとりでも、そのつど都合がつく人を加えて2、3人でも。もちろん謝礼は不要です、本の性格を理解していただけるなら。高校、中学でもいいですよ。ろうそくが使えなくても、それも仕方なし。

よろしくお願いします。

10月7日は馬喰町へ!

10月7日、馬喰町のArt & Eatで、ぱくきょんみさんを中心とした『ろうそくの炎がささやく言葉』(勁草書房)の朗読会が開催されます。なんか、おいしそうな軽食つき。

http://www.art-eat.com/event/?p=1566

女優の安藤朋子さんが朗読者として登場。ぼくも自作を読みます。ぜひいらしてください!

Jeffrey Johnson's Book

アメリカ人の日本文学研究者、ジェフリー・ジョンソンの新著のために書いたblurbが、すでに(本の発売前ですが)Amazon.comに紹介されています。

驚くべき視野をもつ好著です。ぜひごらんください!

http://www.amazon.com/Poetics-Twentieth-Century-Avant-Garde-Studies/dp/0739148761

「ペレ、ハワイの神話」

いよいよ一か月を切りました。サラヴァ東京での、Ayuoとのジョイント・コンサート。

http://www.saravah.jp/tokyo/schedule/log/20111023.php

これから構成の最終的なツメに入ります。ぜひ遊びにきてください。ハワイの火を、海を、風を、溶岩平原を、一緒に想像しましょう!

Sunday 25 September 2011

しまった、昨日は!

何か大事なことを忘れていると思っていた昨夜。24日(土)の夕刻は、トヨダヒトシくんのスライドショー屋外上映会が開催されていたのでした!

旧新宿区立四谷第4小学校校庭。秋の気配の中、どれほどの美しい静寂の時間だったことでしょう。

見逃すには惜しすぎた! ざんねん、ざんねん、そしてトヨダくん、ごめん。

またの機会を切望します!(岡本太郎美術館での上映も知らずにいたとはうかつでした。職場から歩いて行けたのに。)

http://www.hitoshitoyoda.com/2011show_top.html

畠山直哉展、いよいよ、そして畠山大竹連続対談

畠山直哉さんの新作展「ナチュラル・ストーリーズ」がいよいよまもなく東京都写真美術館で始まります。楽しみ。

これに際して、10月1日に同美術館で、大竹昭子さんと畠山さんの対談があります。それのみならず4日はその続編(?)が神保町の古書店ボヘミアンズ・ギルドで行われるとのこと。これは必見、必聴、必臨場。現代日本のもっともクールな写真家と、もっとも繊細な写真読みの対談です。

詳細は大竹さんのカタリココのお知らせをどうぞ。

http://katarikoko.blog40.fc2.com/

木、金、土

木曜日、村山修二郎さんの「緑画ワークショップ」を開催。雨が降るギリギリの曇り空の下、生田のキャンパス内で見つかる葉っぱを使って画用紙に絵を描いてゆくことの楽しさ。みんな力作ぞろいでしたが、特にジェフン(宋済勲)がパワフルな傑作を描いてくれました。

金曜日、「せなかあわせて展」の講評会。評者は横浜美術館の庄司尚子さん。さすがに的確な、温かみのあるコメントで、学生たちには大いに励ましになったようです。自作を語らなくてはならない学生たちもみんなそれぞれにがんばりましたが、やはりエミーニャ(中村絵美)の語りが圧倒的。銀杏の葉っぱと鯨の尾の関係について、あっと驚く着想とそれにいたる経緯を語ってくれました。

土曜日、ぼくは国際理解教育学会で講演(早稲田大学戸山キャンパス39号館にて)。演題は「ぼくは何も理解したことがない」。挑発的な皮肉ととられたら、ごめんなさい、そんなつもりはないんです。理解という最終的に収まりのいい構図をめざすのではなく、理解なんてそのつどの「実用的幻想」でいいじゃないか、という話でした。

この講演のあと、『ろうそくの炎がささやく言葉』が8部売れました! うれしかった。お買い上げいただいたみなさま、ありがとうございました。この本をちゃんと売ることは、今年の最大の目標です。

こうして秋学期の第1週が終わりました。これから冬休みまで、またいろいろな活動をつづけます。なんとか釧路湿原再訪を果たしたいなあ。すべての季節において、あの湿原を体験したい。

ずっと思っていれば、実現することもあるでしょう!

ぼくの新しい詩集『島の水、島の火』(左右社)も、早ければこの週末から書店に並びます。ぜひごらんください。

http://sayusha.com/sayusha/903500560.html

Saturday 24 September 2011

Agend'Ars 48


Junto las cáscaras de cigarra
Y las coloco en forma de pirámide
Las excedentes de la vida y la arquitectura forman una franca unión
Que se agarra, con toda su levedad efímera, a la tierra que gira
Ahí yo siento la edad antigua, el sol de Yucatán
En aquella cantidad inexplicable de la luz y el calor
Estos insectos tienen fe, y se ocultan bajo tierra
Aparecen a medianoche y exponen su desnudez blanca
Y se arquean el cuerpo al máximo y se quitan el vestido
Y luego, con el aire de la noche de verano
Dejan que su cuerpo se queme poco a poco
Avanza la oxidación y se renueva la generación
En las tinieblas de la noche flotan las flores fallidas
Y las cigarras se queman sin emitir aroma ni sonido
Después, cuando el sol derrama su luz abundante
Emprenden el vuelo hacia la edad antigua de Yucatán

(Una traducción tentativa por Eiko Minami)

Friday 23 September 2011

第2詩集完成

ぼくの第2詩集『島の水、島の火 Agend'Ars 2』(左右社)が完成しました。今回も16行詩64片です。

ぜひごらんください! 来年秋には必ず3冊目を出します。そんな風にして、何年続けられるか?

Agend'Ars 47


A menudo veía a un anciano que peregrinaba el mundo a paso lento
Con dos perros gigantes, uno de color negro y otro de naranja, que tiraban de su carro
Por la hilera de eucaliptus caminaba
Siempre callado, más taciturno que un caracol
La gente del pueblo se reía de su harapo
Y la gente de la ciudad ignoraba la presencia de él y sus perros
¿De qué vivía ese anciano?
Yo tenía cinco años; siempre llevaba una herradura imantada
Y me entretenía atrayendo polvo de hierro y clavos viejos
No jugaba con nadie, no hablaba con nadie
Me crucé con los dos perros y el anciano mucha veces
Pero terminamos sin conocernos más
Algunas veces, el anciano dirigía palabras a los perros
En una lengua desconocida para mí
Ambos perros abrían la boca y elevaban la mirada hacia su dueño
Parecían muy contentos de algo, moviendo el rabo

(Una traducción tentativa por Eiko Minami)

Wednesday 21 September 2011

書影が

『コロンブスの犬』(河出文庫)の表紙がアマゾンで見られるようになりました。

http://www.amazon.co.jp/コロンブスの犬-河出文庫-管-啓次郎/dp/4309411118/ref=pd_rhf_p_t_1

この表紙を含め、まだ写真家になるまえの港千尋による写真を多数添え、mi hermano 古川日出男によるソウルフルな解説(といっても現時点でぼくはまだ読んでいません)を得て、過去の影から黒い犬のようにのっそりと出てきた本です。10月5日発売。装幀は『ろうそくの炎がささやく言葉』(勁草書房)とおなじく岡澤理奈です。

ぜひ読んでみてください。基本的に「拾い読み」用の本ですから、読んだら捨ててください! また誰かが拾ってくれるでしょう。

Tuesday 20 September 2011

緑画体験ワークショップ


明治大学生田図書館Gallery ZEROにて開催中の「せなかあわせて」展の関連企画として、今回出品していただいた美術家の村山修二郎さんによるワークショップを開催します。

彼がとりくんでいる「緑画」、すなわち土地の植物を素材として絵を描くという手法の実践編です。

日時 9月22日(木)13:00〜14:30

参加希望の方は12:50にGallery ZERO入口前に集合してください。参加無料、持ち物も特にありません。

ひごろ何気なく見過ごしている、生き過ごしている、生田の丘陵を見直す絶好のチャンスです。ふるってご参加ください。

Monday 19 September 2011

高知いの町での朗読会

仙台の1週間後、17日、高知市近郊のいの町にある土佐和紙工芸村くらうどで『ろうそくの炎がささやく言葉』の朗読会を行いました。

http://www.qraud-kochi.jp/

増水しパワフルな濁流となった仁淀川のほとり。Mowcandle村山さんによる完璧な光の演出のもと、70名のお客さんにも満足してもらえる、いい会になったと思います。

まずぼくが柴田元幸さん訳のエミリー・ディキンソンの短い詩をオフで読んで開幕。編集の関戸さんからの主旨説明につづき、工藤さんによる谷川俊太郎「ろうそくがともされた」、笠間さんによるジャン・ポーラン「よき夕べ」と自作エッセー「山のかげ」、根本さんによる中村和恵「ワタナベさん」、それから地元からの参加者である斉藤さんによる関口涼子「わたしを読んでください。」、西川さんによる谷川俊太郎「ろうそくがともされた」、清田さんによる岬多可子「白い闇のほうへ」。そして装幀の岡澤さんによる万感をこめた鄭暎惠「帰りたい理由」が会場のみなさんの涙を誘いました。それからふたたび工藤さんがペローの昔話、そしてぼくが「川が川に戻る最初の日」を読んで第1部の終了。

第2部は、主催の池田葉子さんとその仲間たちによるジャズ・クインテット「フラット・ファイヴ」のライヴです。すでに結成以来10数年を経て、200回を優に超えるライヴをこなしている地元バンド。みんなで楽しめる練達の演奏で、くらうどの特製オードブルをいただきながら、ほんとうに楽しいひとときでした。ぼくも途中で2曲、歌わせてもらいました。人前で歌うなんて、高校生時代以来。高校生のころのレパートリーを、そのままやらせていただき、ありがとうございました。

すべてをアレンジしてくれた池田葉子さんは、写真家、ベーシスト、革細工職人。生きることに積極的な、ものしずかで侠気のある女性です(みんなからアニキと呼ばれています)。楽しいバンド仲間のみなさん、完璧なホスピタリティで迎えてくださったくらうどの西川さんとスタッフのみなさん、そして聴衆として参加していただいたみなさん、ほんとうにありがとうございました。

翌日は仁淀川の河口にゆき、川の水が海の荒波とぶつかるようすを見、ついで高知市内のあの有名な沢田マンションを見学して、帰ってきました。『ろうそくの炎がささやく言葉』に収録されたていねいに紡がれた作品たちが、しかるべき声に乗り新たな読者のみなさんに届くようすに、毎回はっとします。声の強さにはっとします。

そうそう、春野というところにあるオーガニック・レストラン聖屋(ふつうのお宅で、吹き抜けの2階が文庫になっているおもしろくておいしいお店)で池田さんにお昼をごちそうになったのも楽しい思い出。
http://www.kinomama.jp/search/restaurant/395/base/pref/高知県


これからの各地での朗読会に、ぜひいらしてください。スケジュールは本の専用サイトでチェックしてくださいね。

http://lemurmuredesbougies.tumblr.com/

Saturday 17 September 2011

東京電力の卑劣さ

16日に日本弁護士連合会が出した声明、必読です。

http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2011/110916.html

Friday 16 September 2011

「ろうそくの炎」の10月

10月にも『ろうそくの炎がささやく言葉』関連朗読会が続きます。前半だけでも

7日(金)は馬喰町のArt & Eatにて、ぱくきょんみさんたちと。
8日(土)は放送大学世田谷学習センターにて工藤庸子さん、旦敬介くんと。
15日(土)はリブロ池袋店にて野崎歓さん、柴田元幸さんと。

詳細はそれぞれキーワードで検索していただければ、すぐにわかります。ぜひいらしてください! 

「図書新聞」9月24日号

書評を書きました。野村喜和夫さんの『移動と律動と眩暈と』(書肆山田)。現代日本語におけるランボー主義者の快著です!

Wednesday 14 September 2011

「週刊朝日」9月23日号

に書評を書きました。畠山重篤『鉄は魔法つかい 命と地球をはぐくむ「鉄」物語』(小学館)。中学生でもすぐに読めるスタイルで書かれていますが、この本はほんとうにいい。お勧めします!

Tuesday 13 September 2011

初めての富士山頂

9月13日朝、富士山の頂上に立ちました。感動。昨日の日没時に7合目の山小屋で見た、富士山そのものが関東平野に落とす影も、昇る満月もすごくよかったけど、今日は富士の火口の強烈な迫力に圧倒されました。

3000メートルを過ぎるあたりから、ちょっと息切れが激しくなった。歩きのペースも明らかに落ちる。いちばんきつかったのは、お鉢巡りに入ってからの、剣が峰と呼ばれる3776メートル地点へのアプローチ。結構な傾斜の最後の100メートルばかりがどうにも辛かった。

ところが、まさにそこに入ってから、それまでわれわれのためにペースを落としてくれていた石川隊長が猛然とダッシュ! またたくまに駆け上る。心肺機能の差をまざまざと見せつけられました。彼にとっての富士山はわれわれにとってのモエレ山か。

今回は石川直樹さん(写真家・冒険家)以下、豊嶋秀樹さん(全ジャンルアーティスト)、内田真由美さん(編集者)、山田龍太さん(カヌーイスト)との5人のパーティー。もっともリラックスできる顔ぶれで、ぶじ日本列島の最高地点への巡礼をすませることができました。

またいつか登りたいけれど、明日はイヤだな。

Sunday 11 September 2011

高知新聞に

高知新聞に17日(土)の、いの町での朗読会が紹介されました。チケットはすでに完売。興味をもっていただいたみなさん、すみません!ぜひ本を手にとっていただければと思います。池田葉子さん、よろしくお願いいたします!

http://www.47news.jp/localnews/kochi/2011/09/post_20110911102153.html

仙台


仙台、カフェ・モーツァルト・アトリエでの『ろうそくの炎がささやく言葉』朗読会、終了。いい会になりました。

ぼく、田内志文、小沼純一、牛島富美二、贄川雪のあと、道化師ドリアン助川(明川哲也)の真に圧倒的な語りのパフォーマンス! さらに名取市の小6菊地里帆子ちゃんの胸を打つ作文が、会場にいたすべての人々に大きな勇気を与えてくれました。お出でくださったみなさん、ありがとうございました。そしてすべてのアレンジに力をつくしてくださった佐藤美和子さん、カフェ・モーツァルトの善積建郎さん、ほんとうにありがとうございました。

会の前、名取市の沿岸部をゆっくり見てまわりました。ぼくに何がいえるはずもありませんが、いろいろ思うところがありました。閖上中学校、小学校で、しばらく立ちつくさないわけにはいきませんでした。

来週は高知です。遠い土地からの東北への呼びかけを、考え、また地元のみなさんと試みたいと思います。

Saturday 10 September 2011

いよいよ文庫!

ぼくの最初の本『コロンブスの犬』(1989、弘文堂)がいよいよ10月6日、河出文庫から発売されます。

http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309411118

いまや古書で9800円の値がついているレア本! ほとんど売れなかった本だけに、文庫になって新しい読者と出会うのが楽しみでなりません。

解説は古川日出男さん。新たな魂を注ぎこんでくれるには、最高最適の人です。どうもありがとう、本当に楽しみです。いまの時点から、どんな風に読めるか、少しでも火が残っているのか、この25年前の反=旅行記に。

みなさん、ぜひよろしくお願いします。そしてひきつづき『ろうそくの炎がささやく言葉』も!

伊藤比呂美のカリスマ

8日、木曜日。アメリカからその午後に着いたばかりのふたりの若手詩人、ジョイエルとヨハネスを迎えてのイベントに参加しました。場所は高樹町のレイニーデイ・ブックス&カフェ。初めて行きましたが、じつに機能的に考えられた空間で、模様替えがあまりにうまく行くので、驚き。作業後に出していただいたおにぎりが、またおいしくて。こんどはカフェのお客として、仕事をしに行こう。

イベントは楽しく活気があっておもしろい会になりました。アクションブックスという小出版社を経営してもいるふたりは、とにかく元気。日本の詩人たちもそれぞれに自作の英訳を朗読し、バイリンガル空間のひろがりをお客さんたちも楽しめたと思います。翻訳家のくぼたのぞみさんがご自分のブログに感想を書いてくださいました。

http://esperanzasroom.blogspot.com/

ぼくは発案者の伊藤比呂美さんのお手伝いをしただけですが、会の全体が比呂美さんのカリスマと話術により、その夜だけの言葉のカーニバルに。間近で見ていて、ほんとにすごいと感心するばかり。爪の垢をください、煎じて飲みます!

その比呂美さんが雑談でぽろりとおっしゃった、仏教の東漸を追うのだ、という言葉にひっかかっています。印度、中国から伝わり変容した日本仏教、それが太平洋をわたりカリフォルニアへ。コロラド州のナロパ・インスティテュートはぼくも学生のころから関心がある学校ですが、比呂美さんも気になっているようす。いちど訪ねてみようかな。サンディエゴからボールダーまで車で行ってみるか。

平田俊子さんや田中庸介さんにも再会できたし、蜂飼耳さんに会うこともできて、ぼくにとっても実りの多い一夜でした。

レイニー・デイの林下さん、なかべさん、ありがとうございました。10月には『ろうそくの炎がささやく言葉』のイベントを、ここでやらせていただきます。またよろしくお願いします!

Tuesday 6 September 2011

豊平川

豊平川が濁流に。

http://d.hatena.ne.jp/elmikamino/

宮井さん、札幌のすべてのおともだち、大丈夫ですか?

一方で、台風の被害にあった和歌山県をはじめとする各地のみなさん、お見舞い申し上げます。

自然力に対してわれわれは何をいえるのか、いうべきなのか? 人は誰も勝てない相手だけれど。いや、「相手」というべきですらない、全面的なすべてだけれど。

Agend'Ars 46


En la metrópoli de nube crece la presión para la caza
Están a punto de cazar a las almas
La mayor defensa es hacer muñecos de sal
acumulando los cristales transparentes
y blanquísimos, que dispersan la luz
nivelando la superficie desigual de sus almas y sus experiencias
y hacer bailar a esos muñecos de rasgos que recuerdan el Temperamento
O en una barca que desliza por la canal de la metrópoli de nube, sin hacer ruido
y que nunca atraca en la otra orilla
colocar cuatro o cinco bueyes de berenjena, fuera de estación
y decirles que corran, también sería bueno
No huyen ellos, los persigo yo
Se acurrucan ellos, los persigo yo
Los bueyes comen hierbas en la ribera y en la opuesta las hadas forman un círculo
que cierra y abre como los párpados
Viéndolo, las almas se duermen como flores

(Una traducción tentativa por Eiko Minami)

「すばる」10月号

「すばる」によしもとばなな『ジュージュー』の書評を書きました。ばななさんこそ、ぼくにとっての「ジュージュー」だった。その「ジュージュー」が何かを知るには、この本をどうぞ。そして強烈にかわいいダスト・ジャケットを、ぜひ書店で見てください。

Sunday 4 September 2011

朝日新聞「本の舞台裏」

けさの朝日新聞読書欄のコーナー「本の舞台裏」で、『ろうそくの炎がささやく言葉』(勁草書房)が紹介されました。今後の朗読会についてもふれられています。どうぞ、ごらんください!

きゅうり水

この夏初めて飲んだものは、きゅうり水 (cucumber water)。ホテルのロビーにあって、ガラスのジャーにライムときゅうりの輪切りと氷がごろごろ入っていて、好きなだけ飲める。青臭いだろうなと思っていたら、やっぱり青臭い。が、悪くない。さっぱりしていい感じ。

で、こんど(来年の夏には?)うちでも作ってみようと思っていたら、「水牛だより」で八巻美恵さんが以下のように書いておられた。これはいいかも。よし、来年作るのは「きゅうりワサビ水」だ! 来夏、思い出せたらの話だけれど。

夏のはじめのサワーは、きゅうりワサビ。焼酎のソーダ割りといっしょに小皿にきゅうりの細切りとわさびが小さじいっぱいほど盛られてついてくる。わさびは粉を溶いたもの。それを焼酎のジョッキにすべて投げ込み、マドラーで攪拌する。しだいにぜんたいが淡い翠色がかって白く濁ったら準備完了。口に含むとほんのりわさびの香り。辛くはない。きゅうりの青臭さがほどよい複雑な味となり、さっぱりとおいしい。ときどきそのきゅうりを箸でつまんで食べてみると、焼酎を含んだ味に変化していて、これもよい。夏の味だな。外がまだ明るい夕方が似合う。自分でも作れそうな気がする。町田にて。」


なお、トップの写真のかぶとむしは、おそらく生田緑地から飛んできて、勝手に捕まってくれたもの。しばし遊んで、砂糖水を飲ませ、翌朝には帰ってもらいました。

Saturday 3 September 2011

Agend'Ars 45


Como la resistencia al intelecto
Se escribe la poesía, no es una explicación
En conmemoración de lo incomprensible
Sólo se intenta disponer las palabras
Aunque sea incomprensible, quiero aquí
Crear una especie de jardín lingüística, un huerto desconocido
Para inscribir el crecimiento peculiar de esa hora
En rayas sutiles
El esfuerzo del recuerdo de lo que nunca ha sido
El apoyo a la reminiscencia de las cosas imposibles
La reacción metafísica contra este mundo sin consistencia que no puede ser sino una cosa
Morder la raíz amarga del aciano desde el lado de la tierra
Y contemplar las estrellas esparcidas por el cielo azul aguamarina desde dentro de la tierra
No hay conocimientos ni inteligencia
Sólo existen las vacilaciones de la mente
La que jamás se deja ahuyentar, la memoria, ese animal pequeño

(Una traducción tentativa por Eiko Minami)

勝手に俳句(ら行、わ行)

雷鳴に目覚めし間際の紅楼夢
リスボンや栄華の果てに鴎あり
流転せよ苔むす石ころ夜明けは近い
連綿と写経のごとく文字を打つ
ロックンロールは死んだよロックは死なないよ

和気藹々呉越同舟コミュニオン

(「を」と「ん」はあきらめ。これにて1サイクル終了です。)

Friday 2 September 2011

「水牛のように」9月号

「水牛のように」が更新されました。

http://www.suigyu.com/

ぼくは「犬狼詩集」39、40を寄稿しています。若松恵子さんがエッセーで『ろうそくの炎がささやく言葉』をとりあげてくださいました。ありがとうございます!

ほんとうに淡々と、無口な水牛そのものの姿勢で続いてゆくこのウェブジン、大好きです。いつでもごらんください。いつでもそこにあります。

Thursday 1 September 2011

勝手に俳句(は行、ま行、や行)

俳諧と徘徊と諧謔と嗜虐
非人称先取りされたニルヴァーナ
不快指数を快に転ずる心意気
ヘルシンキ地獄の沙汰は犬に訊け
包囲光に魂さらす万聖節

迷ふなかれすべての迷路でおれが待つ
未開といふも開に開なしこれでよし
無情と人情いづれもなさけ深なさけ
明解な満月狂気の鏡をひとつ割れ
猛獣の心をきみがなつかせた

やなこつたパンナコツタが欲しいんだい
夕方を崇めて千年夜を待つ
妖術と魚の頭のせめぎあひ