Monday 24 March 2008

ピナ・バウシュ

きょうは時差ぼけの頭のまま、新百合ケ丘の昭和音楽大学テアトロ・ジリオに、ピナ・バウシュ率いるタンツテアター・ヴッパタールの公演を観にいった。演目はシチリアの街パレルモを素材にした「パレルモ、パレルモ!」

シチリアというとマフィアと思う人、あるいはタヴィアーニ兄弟の『カオス、シチリア物語』を思い出す人が多いと思うが、イタリア半島の先っぽにある特異な位置から、古来ギリシャ文化、アラブ文化にさらされてきた交通と混淆の土地。笑いにあふれた舞台は次々に予測のつかない事件が起こり、一瞬たりとも飽きさせない2時間半だった。

圧巻だったのは、前半の終結部、ゴミが散らかる舞台上で延々とくりひろげられるダンス・パーティー。むかしの「ソウル・トレイン」みたいに、ダンサーが二人ずつ中央の舞台前に歩み出て、大見得を切るような踊りをくりひろげる。この部分、大好き。そして途中で餌を食べるためだけに舞台に出てくる犬もかわいかった。

ピナ・バウシュの舞台を見るのは1986年の彼女たちの初来日以来、21年半ぶり。その翌年から20世紀の終わり近くまではアメリカの田舎ばかりに住んでいたため、こういう世界があることすら忘れていた! チケットは1万3000円。高いといえば高いが、これだけの人と装置を運んできたことを思えば、ひどく安いともいえる。

ひどく小柄な、東南アジア系かと思われる顔立ちの女性ダンサーが、妙に印象に残った。