Monday 25 February 2008

もうひとつ、それとおなじ輝きが

22日金曜の「朝日新聞」科学面で、おもしろい記事を読んだ。

理工学部に勤務していると、こっちまで何か「理系なんですか?」と勘違いされることがよくある。いいえ、残念ながら、ブンブンの文系です。ただの語学屋です。高校時代の数学の点は、ゼロを極限値として限りなくそれに接近している、といって過言ではありませんでした。

それでもさすがに同僚たちは、その道の専門家ばかり。この日、とりあげられていた記事の主人公は数学科の砂田利一さん。日本の代表的幾何学者のひとり。ダイヤモンドの結晶とおなじ対称性をもつ構造が存在することを、数学的に証明したのだという。

記事を引用する。「ダイヤモンドの結晶は、一つの炭素原子を取り巻くように四つの炭素原子が等距離に並んだ正四面体構造が繰り返し現れる。どの炭素原子も均等に結ばれてダイヤの硬さを生み出すほか、特有の高い光の屈折率が美しい輝きのもとになる。」

そこで砂田先生は、「結晶内の基本構造がもつ対称性と、原子と原子をむすぶ結合のもつ対称性に注目」し、この二つの対称性が最大となるような構造がダイヤのほかにもう一つあることを示した、のだという。それは「10個の原子が環状に連なった基本構造が繰り返し現れる複雑な形状」で、これを「K4結晶」と名付けたそうだ。

どうやらそれは見つかっているわけでもなく、現実に存在するかどうかはわからないようだ。ただ、可能性として、そうした原子構造がかたちをとるとき、その輝きはダイヤモンドのそれに匹敵するということか。霧の森に迷い込むような話だが、どこか感動させられるものがある。

そんな「並行世界ダイヤモンド」が、いつか現実に見つかったら?