Sunday 20 January 2008

Chabrol/chabrot

辞書はほんとうにおもしろい、知識の宝庫、無限の啓蒙の源泉だ。何の気なしに仏和辞典(小学館プログレッシブ)を開くと、こんな記述があった。単語はchabrol あるいはchabrot。「地域」という但し書きのもとに、こうある。「(フランス南西地方の)シャブロル、シャブロ」そしてそれは「皿に残ったスープに赤ワインをついで飲むワインスープ」なのだそうだ。

へえ。これから雪が降ろうかという今夜、それを聞くと、それだけでぽかぽか温まるような話。

そういえば幼いころ、祖父母が煮魚を食べたあとの骨と煮汁に熱湯を注いだものを「ぜんもんじる」と呼んでいたのを思い出す。子供のころは好きでもなかったが、だんだんそういう味もいいと思うようになってきた。成長してしばらくして、ある日突然、それが漢字をあてるなら「禅門汁」なのだということに気づいた。つまり禅寺の修行僧たちみたいな、つつましいスープということか。

シャブロルのほうにはそんなアスケーシス(節制、苦行)の含意はまったくなさそうで、何かまったくの楽しみの領分にあるような気がするが、どうなんだろう。そして映画監督のクロード・シャブロルは、この簡単な料理とどんな関係があるのか?

さあ、夜半からの雪を待とう。