Sunday 7 October 2007

元・学生たち

金曜日に暗いことを書いたら、土曜日の夜、明治の卒業生たち3名が「せんせ〜、メシ食ってますか」と電話をかけてきて、集まってくれた。教え子、といいたいところだが、授業に出ていたのはうち一人、それも在学中に教室で見かけた記憶はあまりない。話をしたのは、むしろ学食。何も教えなかった教師のもとに、こうして集まってくれるんだから、ほんとにありがたいことだ。

みんな就職して3年目、仕事はきつそうだが、それぞれたくましくやっている。後輩だっている。心配なのは、折角就職しても、1年も経たずに辞めてゆき、いまは何をしているのかわからない数名。産業構造とか、雇用形態とか、じつは歴史の中では安定期がはるかに短く、綱渡りの日々が大部分だったにちがいない。でもそれも一面的な見方。そもそもこの島国でも、お金の回り方を中心にすべてが判断され、時間や労力や生き方や信条まで切り売りされるようになったのは、つい最近のできごとだろう。

働かないこと、というのはそれだけで革命的だが、それでは日々の食事が満足に食べられなくなるから困る。普通に暮らしているだけで、身も心も仕事も遊びも、全面的にお金と商品につらぬかれているのだから辛い。

逃れるには? 山の話になる。日本、わずかな平野部にひしめきあって人が暮らしているが、山はすごい。きれい、広い、はてしない。しかし山は本当に怖い。人にはどうにもできない巨大な自然力の渦が、ごうごうと音を立てている。獣もいる。天気は激しく変わる。

それでも山に生活の本拠地を置き、平日だけ里に下りてきて稼ぐというスタイルにできないものかと、のんきな夢想。

ともあれ、3人が気前よくおごってくれて、かたじけなかった! もつべきものは非・教え子的教え子たち。学生時代にぎょうざを一皿おごれば、それが10倍になって返ってくる。そういうときに、教師稼業の単純明快なよろこびがある。これからも一粒万倍の精神で、恩返し(もとの「恩」はないが)を続けてほしいものだ。

みんな、これからもよろしく。いまの在学生のみんなも、近未来において、よろしく。明るくでっかく生きるのが「明大生」。はじめは冗談でいってたその言葉が、だんだん真実のように思えてきた。